鋼板加工ニュース
2022.11.21
2022.11.28
【社員インタビュー】先輩から受けたご恩を、後輩に送る
=ゲンバ男子・大石良太(後編)
【社員インタビュー】やれない理由でなく、やれる方法を考える(前編)は、こちら!
【問】 入社後、どのようにして技術を身につけたのですか?
坂元鋼材に40年以上勤められたベテランの先輩が
ガス溶断の師匠でした。
師匠は昭和の古き良き「もったいない精神」を体現していました。
機械を自分で修理したり、部品を自作したり、とても器用でした。
修理できない機械は部品だけ取り出し、別の修理に活かしました。
そうして古い機械に新しい生命が吹き込まれます。
お古を治すと、機械の構造が理解できます。
修理のために残しておく部品がどれかも分かります。
機械への愛着もわきます。
いま使っているポータブル機は1985年5月の製造です。
自分と同い年です。
新入社員が入っても、新品を追加で買いません。
倉庫に眠っている古いものを蘇生させています。
「機械を大事にしようね」という前さん(工場長)の考えです。
これがベテランさんから続く伝統です。
そのベテランさんの自作のナイフがありました。
めっちゃよく切れます。
それをもう一つ複製しました。
レーザーで型切りし、砥石で削り、ガスで焼き入れもします。
どこにでも売っているものですけど、自分で使うものは自分で作る。
それが坂元鋼材の良い伝統です。
【問】 いま学んでいるのは、何ですか?
アイトレーサー(ガス溶断)です。
ベテラン社員の吉山さんから教わっています。
吉山さんは1から10まで教えるのではなく、ある程度のところから自由にさせてくれます。
そして一段落すると改善のためのフィードバックをくれます。
一方で、私の切り方からも何かを得ようと研究されます。
私のような者の仕事からも「吸収できるところはないか」と探求されます。
あれほどのベテランが、です。
その向上心、謙虚なお姿に感動します。
私が先輩として後輩指導をするときには、「記憶より記録」を心がけています。
マニュアルを作り、文字や数字に残しています。
プラズマ加工機を例に挙げると、消耗品の管理が非常に重要です。
消耗品の減り具合が品質を決定し、粗利にも直結するからです。
マニュアルにすることで、記憶でなく記録として残せます。
「マニュアルは土台。自分でアップデートしてほしい」
そう後輩に伝えています。
【問】 会社では「教え合い」を進めていますね?
私がガス溶断を学んだ2人の先輩も、惜しみなく技術を教えてくれました。
この良き伝統をつないでいくことが私たち世代の責任です。
NCガス溶断機を新たに学び始めたとき、「いずれ人に教えることになる」と思って学びました。
すると自分の知識と技術が整理されて、より理解も深まります。
「エドガー・デールの学習法則」というものがあります。
読む ―― 10%
聞く ―― 20%
見る ―― 30%
見て・聞く ―― 50%
議論する ―― 70%
教える ―― 90%
こうして学んだことが記憶に定着していくという話です。
会社の方針である教え合いは、恩送りでもあります。
【問】 これからの目標は何ですか?
私の職業人生は、まだまだこれからです。
先輩たちのような謙虚さを、ずっと持ち続けます。
「部分最適でなく全体最適」
「仲間を勝たせること」
「全体勝利」
そんな意識をもって、会社を良くし続けていきます。
【問】 最後に9年前のゲンバ男子の思い出は?
男前と言われたけれど、おこがましいと思いました。
テレビにいくつも出演し、楽しませてもらいました。
友人やお客さんに「見たで!」と言われて、まんざらでもなかったです。
「3K」などと言われることもある業界ですが、
我々の仕事が社会を支えています。
町工場やモノづくりの業界のイメージを変える意義を感じました。
撮影は、敢えて新品でない作業服で撮りました。
汗をかいた姿を撮るために、霧吹きで汗を作ったことも。(笑)
汚れた軍手、職人さんのゴツゴツした手、黒光りした機械
それらがフォーカスされていました。
高校生や若い子に「製造業はカッコいい」と思ってもらえたら、うれしいです。
たった一つ、
幻冬舎から出た写真集で表紙を飾り損ねた!
帯どまりで、残念。(笑)
当時はまだ子供が赤ん坊でした。
大きくなってきて、DVDを見せました。
喜んでくれました。
子供にいい後ろ姿を見せれる職業人であり続けたいと思います。
(おわり)