鋼板加工ニュース
＝ゲンバ男子・大石良太（前編）＝
「町工場のオトコマエを探せ！」
こんな合言葉で始まった「ゲンバ男子」プロジェクト。
それが大阪からスタートしたのは8年前の2014年でした。
モノづくりの現場の魅力を世の中に伝えるのが狙い。
数々の町工場から多くの男前職人が登場しました。
弊社社員の大石良太（当時28歳）もその一人。
大石は多くのテレビ番組にも単独で出演。
NHK大阪、朝日放送、毎日放送、関西テレビ、讀賣テレビ、テレビ大阪、
さらにフジテレビ（東京）も。
町工場の存在感を世に伝えました。
その彼も37歳で3児のパパ。
弊社での社歴も12年を数え、いまや中堅幹部です。
【問】 この会社に来た経緯を教えてください。
親から「手に職をつけなさい」と言われて育ちました。
工業高校を出て社員200人規模の製造業に入社しました。
しかし、もともとアパレル（洋服の販売）に興味がありました。
2年で転職。
心斎橋アメリカ村の店舗に勤めました。
お客さんとのやり取りからニーズを探ったり、
ライバル店を研究するのも楽しかった。
ビンテージ物を探して、米国にも買い付けに行きました。
バイヤーとして自分の目利きを試すのは醍醐味でした。
まだ20代前半、寝食を忘れて働きました。
そのころ結婚を考える彼女がいました。
しかし休みは週1日あるかないかの職場。
収入も不安定でした。
結婚するなら、いまの状況では厳しい。
仕事としてはやるだけやった。
アパレルは趣味にしようと決心しました。
再度の転職先は、やはり製造業。
初めての職場だった製造業の印象が良かった。
自分を生かせる分野と思っていました。
体力には自信があり、がむしゃらに働くこともできる。
ハローワークでヒットしたのが坂元鋼材です。
面接に来たら、前さん（現・工場長）に太ももを触られ合格しました。（笑）
「ガタイがよくてガッツがありそう」と、自分を見てくれました。
冗談みたいですが、本当です。
【問】 ゲンバ（工場）をやりながら、営業にも積極的ですね。
お客さんが何を求めているのか知りたいからです。
お客さんの声を実際に聞いてみたい。
もと販売員だった血も騒ぎます。（笑）
「ここまでするなら坂元鋼材で買わなしゃあない」
そう思ってもらえるくらい信頼感を深めたい。
現場では、鋼材をキレイに切ることを心掛けています。
難しい仕事にも挑戦します。
そんな自分たちのこだわりが伝わっているだろうか。
それも知りたかった。
お客様から仕事をほめてもらえると、めちゃめちゃ嬉しいです。
一方で、坂元鋼材として解決すべき課題もいっぱい見えます。
配達ニーズ、2次加工のレパートリー拡大、当社の価格設定など。
現場でやっていることが正解なのかどうか、
お客さんに聞くことはその答え合わせです。
ときには弊社の足りないところへのご指摘もいただきます。
期待を込めての言葉だと感謝しています。
そこに伸びしろがあると思っています。
リクエストに応え続けることで、会社はさらに強くなります。
「やれない理由を考えるのでなく、やれる方法を見つけ出す」
それが会社の姿勢であり、先輩たちが示してくれた後ろ姿でした。
【問】 仕事で心がけていることは何ですか？
顧客第一の姿勢です。
それは会社のモットーである短納期と高品質です。
納期厳守は絶対です。
外注に送るものは予定より1日早く仕上げるとか、
加工まで含めた短納期を追求しています。
「次に使う人が使いやすいように」
そんな、うちの伝統的な考えが大好きです。
私たちの作る溶断品は中間製品だからです。
次の加工がしやすいように精度を追及しています。
私個人としては器用な方ではありません。
現場も営業も両方やっていますから、
一つ一つの仕事を丁寧にすることを心がけています。
そして常に考えながら仕事をすること。
ガス溶断をしていても、次の段取りは何か。
仲間は何を求めているか、手伝えないか、何かできないか。
常にアンテナを張ります。
スピードも大事です。
キレイなだけでなく、早く仕上げたい。
時間をかけて良い結果を出すのは当然で、
スピードアップして同じ結果を出す。
それは自分との闘いです。
子供が生まれてから、より強く思うようになりました。
「お父さん何しているの？」
そう子供に仕事のことを聞かれたとき、
力を抜いて適当にしている自分を子供に見せたくなかった。
昨日より今日、今日より明日。
どこかで自分で自分に鞭打つ。
そうしないとアカンと思っています。
（後編に続く）
