鋼板加工ニュース
2023.11.17
2023.11.17
離職ゼロ10年、その背景
業績は良いが、人間関係が良くない職場。
人間関係は良いが、業績がイマイチな職場。
そのどちらでもなく、業績も人間関係も良い職場。
それを目指し、追求しています。
リーマンショックでの大失敗を機に始めた社内改革。
まずは社風を良くすることに意を注ぎました。
気が付くと、社員が定着して離職のない職場になりました。
ことしの9月で、離職ゼロ10年。
先日、業界紙にこのことを取り上げていただきました。
そのときに受けた質疑応答です。
まさに試行錯誤の歴史、ぜひご一読ください。
10年間離職者ゼロの背景にあったのは?
当社は15人の小規模な会社なので採用は毎年ではないが、
長期プランにより若手・新卒採用を行っている。
定年退職以外の離職が10年間ゼロということは、
社員がこの会社で働くことを選択し続けてくれたということ。
どの会社で働くかは当然ながら社員の自由意思。経営者として嬉しい限りだ。
社員教育の柱として多能工化を目指し、お互いの技術を教え合ってスキルを磨いた。
おかげで業務効率が高まり残業は不要。
社員には自分の『分身』がいるので有給休暇の取得に支障がない。
コロナまん延で社員が半減でも操業可能だった。
教え合うためには人間関係が良くなければならない。
社内のコミュニケーションが図れるような取り組みも続けた。
社内の雰囲気や人間関係がはやり大事なのか?
かつては中途採用ばかりで定着率は30%程度。
社員が離職すると組織に痛みも走った。
私が社員を叱責して労務問題に発展したこともあった。
定着率の低さが業績を悪化させていた。
このままでは本当にまずい。私の考えが間違いだと気づいた。
社長の思いを上から押し付けるだけの古いマネジメントスタイルで人は動かない。
社風を良くし、社員の欲求が満たされる職場づくりが先。
そうして初めて内発的に動機づけされて仕事へのモチベーションが上がる。
採用にもじっくり時間をかけた。
高卒(新卒)の採用は2時間の面接を2回以上実施。
当方の求める人材像を明確に伝え、一方で志望動機も徹底的にヒアリング。
就職は結婚とよく似ている。
入社後のミスマッチを限りなくゼロに近付けるように努力した。
採用・教育を変えたことが効果的だった?
この10年間で、中途3人(10代と20代)、高校・大学の新卒5人を採用した。
全員が定着して優秀な社員に育ってくれた。
例えば10年前に採用した社員は現在31歳。
育成が難しいガス溶断部門で立派な職人に育った」
最若手が2020年4月に採用した高校新卒の2人。
互いに切磋琢磨してレーザーやプラズマ加工機を習得。
挨拶が気持ちよく勤務態度も抜群。
ベテランや中堅が彼らの相談に親身にアドバイスしてくれるなど、
先輩社員と若手社員がともに成長しているのを日々実感している。
経理公開は、なぜ?
決算は全社員に共有しており会社の売り上げや利益の見える化に努めている。
現場・営業関係なく損益計算書(PL)や賃借対照表(BS)の見方を教え、
当社の内情を把握してもらっている。
自分たちの頑張りがどんな結果になるのかが分かって初めて本気の力が出る。
毎年の利益に連動して決算賞与を出すのもそのためだ。
社員ひとり一人が10年先・20年先を見据えて個々の業務に励む企業を目指している。
当社は『1人当たり』の指標を大切にしている。
1人当たり粗利・給料・法人税・自己資本額など。
そうすると社員が経営を自分ごとと考え、少数精鋭で筋肉質の組織になる。
自己資本比率はリーマンショック後が10%だったが、一時70%まで伸長。
新工場の用地を購入した現在でも55%で堅実経営を持続している。
次世代に向けてのメッセージを
良好な人間関係と好業績が両立した会社が目標です。
自発的に働く社員こそが顧客に心底から尽くしてくれる。
来年度には本社裏手に新工場を予定している。
高卒(新卒)の採用活動も再開する。
長期的な視点をもとに、最大のパートナーである社員と一緒に会社の未来を描いていきたい。
(了)