鋼板加工ニュース
2025.03.07
2025.03.07
ガス溶断において歪みが発生する原因と対策
ガス溶断加工は、古くから鋼板の切断方法として広く利用されており、ガスバーナーの炎で鋼板を加熱し、高圧酸素を吹き付けることで切断する技術です。切断の仕上がりは、火力の調整や切断速度、作業の手順などが重要であり、職人の経験や技術に大きく左右されます。
ガス溶断は極厚の鋼板加工にも対応でき、鋼板加工において重宝されている加工方法ですが、火力の調整による切断面の品質不良や鋼板の歪みなどの加工不良が発生することも多々あります。
そこで本記事では、ガス溶断の歪みが発生する原因と対策方法について具体的にご紹介します。
ガス溶断時に歪みが発生する原因
熱膨張と冷却の影響
ガス溶断時、鋼板の切断部分は高温になり、加熱によって膨張します。しかし、周囲の冷えた部分との温度差によって、残留応力が発生します。これにより、切断が進むにつれて材料の収縮が発生し、歪みが発生します。
切断順序の影響
ガス溶断で切断する順序によって、熱膨張の影響で鋼板が変形し、歪みが発生します。例えば、大きな部材や複雑な形状の切断では、熱がこもりやすい部分と冷えやすい部分ができ、局所的な収縮が起こることで歪みが発生します。
また、一直線に切断を行う場合も熱影響が偏り、大きな収縮が発生することで歪みが発生しやすくなります。そのため、切断の順序を最適化することが重要です。
切断条件による加工面
切断時の火炎温度や酸素圧が適切でない場合、局所的に過剰な加熱が発生しやすくなり、歪みの原因になります。また、ノズルの劣化や目詰まりにより、炎が不均一になると、切断面の温度にムラが生じ、収縮のバランスが崩れて歪みが発生します。
当社のガス溶断における歪みの対策
ガス溶断時に歪みを最小限に抑えるための対策法をいくつかご紹介します。
溶断部分の順番を入れ替える
歪みの発生対策の一つとして、溶断部分の順番を入れ替えることが挙げられます。溶断時の順番を変更することで、入熱によって鋼板が動くことを防ぐことができます。切断中に鋼板が動くと、溶断熱による膨張・収縮によって鋼板に予期しない応力が加わります。
そのため、板を固定し、動かない状態にすることで、応力のかかり方を一定に保ち、歪みを抑制できます。
時間をおいて加工を行う
ガス溶断は高温の炎で鋼板を加熱するため、局所的に大きな温度変化が生じます。急激な加熱と冷却が繰り返されると、熱応力が発生し、鋼板が歪みやすくなります。そのため、時間をおいて加工を行うことで、溶断で発生した熱が自然に放散され、鋼板の温度が均一に戻る時間を確保できます。
これにより、熱膨張と収縮のバランスが整い、応力の偏りが少なくなるため、歪みが抑えられます。また、当社では上記の基本的な対策以外にも、歪みを抑えるための様々な対策を行っております。
当社のガス溶断加工事例
ガス精密溶断 130ミリ厚
本製品のように100mmを超える極厚の鋼板は、切断が非常に難しく、高度な技術を持った作業者が必要です。板厚が厚くなるほど、切断時に勾配が発生しやすく、きれいな切断面を維持することが一層困難になります。
当社には熟練した技術を持つベテラン加工者が多数在籍しており、極厚の製品でも高精度できれいに加工することが可能です。
鋼板のガス溶断ならレーザー・プラズマ・ガス溶断加工センターにお任せください。
今回は、ガス溶断において歪みが発生する原因と対策についてご紹介しました。レーザー・プラズマ・ガス溶断加工センターを運営する坂元鋼材株式会社では、30年以上の経験と技術を持つベテランを中心に熟練の職人が100mmを超える極厚鋼材加工を高精度かつ短納期でご提供します。鋼材の加工でお困りの方はお気軽にご相談ください。